深居優治(ふかいゆうじ)のステージは、さながらサスペンス映画をみてる気分になる。もしくはホラー。

 轟音がうねり、ゴボゴボと水の音が鳴る。エミュを駆使し、ギターからピアノやフルートの音も鳴らす。音源を鳴らすわけでなく、開演SEをステージ上で作りあげる。いつ始まるかまるでわからない。

 ギターを静かに弾き、3面ボードのエフェクター類の調整をしてるかと思えば、

「カウンターのみんな歌うよ!!」

と大声を上げる。突拍子もなく叫ぶ。ひとこと「外の人呼ぶよ」とくれたらいいのにとも思うけど、その唐突さが深居君。

 開演を表す自作のブザー音。存在しない幕が、あがるように見えた。

開演

「さっきから嫌な音がする」

開幕一番、声を荒げる。当たり前のように、突として叫んで始まる。

「傘を差すのは雨に濡れないため。嘘をつくのは。好かれたいからか」
(中略)

「さっきから嫌な音がする。それが雨の音だと気づくまでに、随分時間がかかってしまった」

 呟きに食い気味に『君という雨』のイントロのギターがなる。エフェクターのインパクトや、烈々たるコード弾きの影に隠れがちだけど、単音のリードフレーズを弾く時の彼の音はとても綺麗で繊細。どの曲も。

 サビ前のストロークにノイズ(歪み)が混ざるのが、印象的だった。ルーパーで音を重ねて続けるかと思えば、途中で曲が止まり語りが入る。次になにをしでかすかわからない。急に静かになったかと思えば、大声で叫ぶ。サスペンスやホラーに似た緊張感。

「雨止まないね」

 常套フレーズを口にし、演劇。

 いつも通り、観客を置き去りにする。深居優治、止まらないね。

 エフェクターをモグラ叩きし、場面が切り替わる。ピアノの音をギターから鳴らす。この「1音目」が本当に美しくて、ピアノの音が鳴る瞬間いつも背筋が凍りそうになる。畏怖してるのか、喜々としてるのかゾワゾワする。

 目まぐるしい展開で、置き去りにする。

飛び出す深居優治

「さよなら」

 椅子を投げる深居優治。
 どうしたのかと思えば卒倒する。

 そしてステージからジャンプする深居氏。柵を飛び越え客席に。物販スペースに置いてある受話器を取りに来る。

「お電話ありがとうございます。よろしければあなたのお名前の録音をお願いします。3分間まで録音できます。それではお願いします」ディレイと歪がかった女性ナレーターの留守電の声。

 電話を置き、再びステージへジャンプ。

 この辺のMCが聞き取れず、シチュエーションがいまいち掴めなかった。(本当にすみません) 

 ともかく、急にステージの枠から飛び出してきたので驚いた。3D深居。



ふたたび語り

「沈んだら沈んだ どこまで沈んだ? 止まなかったね雨。止まないから、海に変わったね雨」

ゴボゴボと水中に沈んだような音がなる。『相対温度』♭のコード進行が秀逸。

深居優治「こわくないよ」の説得力の無さ

 ほぼ終わり際に、MCと呼んでいいのかわからないMCをする。線引が曖昧なので、今だれに向けて話してるのかを把握するまで時間を要する。

 深居優治の「こわくないよ」の説得力の皆無さ。皆無さがどうしようもない。初見の人が聞いても、「嘘だろ」と言いたくなると思う。ステージ急に飛び越えて客席に来る人ですよ。一心不乱で左右なんて見向きもせずに。怖いでしょあんなの。

音量がいじわる

 全編通して、いつも通りボリュームがいじわるで、30くらいの音量でライブをするかと思えば急に80を出す。100から10。感情の敏捷性が高すぎる。いつも段階を飛ばしてくる。けど、これが彼の平常運転。

「忘れないでほしいな(vol 20)」から

「演目!演者:深居優治!(vol 90)」

ですからね。

 デザインされてるようで赴くままのライブ、それが深居くんのライブ「演目」。

『白痴』で演目は終了。水中に沈んだようにライブは終わる。



 彼いわく、「今日は感情が爆発してた」とのこと。これもいつも通りのようで、喜怒哀楽の一部の4つの項目のグラフがライブ毎にバラバラ。今日は「哀」の線が確かに伸びていた。見てるこちらも悲しくなる。例の如く、惹き込まれてしまって、感情が巻き込まれる。

 彼のライブ行ける機会があれば是非いってほしい。世界観が言葉では足りません。深居世界観。エモーショナルで、感傷的。ハッとするようなライブを見たい方に誂え向きです。

ではまた。

弾き語りの概念をぶち壊す「ヤバい」男、深居優治【ライブハウスの劇場家】

2018.05.07
hitoto

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