チャットモンチーの魅力ってなんだ? 完結する今ふりかえる




 チャットモンチーがついに活動を終えてしまう。

 ガールズバンドの最高峰に位置し、ガールズに留まらず様々な層に影響を与えたバンド、チャットモンチー。

 本人たちはガールズバンドと言われることをあまり好ましくおもっていなかったらしい。だけどあえてガールズバンドとしても、バンドとしても最高峰と言わせてほしい。

 かわいさもかっこよさも併せ持つ彼女らは、そう言いたくなるくらい素晴らしかった。活動は終わるも、チャットモンチーの音楽は終わらない。チャットモンチーの良い所を改めて振り返りたいと思う。

(※パートの表記はスリーピース時のものにしています。)

チャットモンチーの持つ魅力

かっこつけないからかっこいい

 チャットモンチーはかっこいい。そしてかわいい。かといってルックスが突出して良いかと言われると、疑問は残る。アイドル並のルックスをもってるわけじゃない。

 けど、彼女らはかわいいしかっこいい。それは彼女らがどこまでも自然体でやり切ったからからだと思う。

 福岡さんは、堂々とした立ち振舞でベースを弾く。強い女性の象徴のような力強いベース。けどどこかしっかり女性らしさもある。それは演じてないからだと思う。


イケメンって言いたくなってしまう。


そしてこの感じ。「ここだけの話」はPVも曲も素晴らしい。

 ドラムの繊細な高橋さん。チャットモンチーはメンバー全員が歌詞を書いており、彼女も多く歌詞を書いている。繊細な歌詞を書くのと同じくらいドラムも繊細。


 ボーカル橋本絵莉子(以下えっちゃん)は自然にしてるからかわいくて、歌が響く。素朴な自分をどう見せるかを本能で理解している気がする。

理性もあるが、「最後に勝つのは本能だ」と演奏や歌が訴えてる気がする。憶測。多少気取ってもいるだろうけど、だからなんだと思うくらい素朴さが強い。どれも憶測。計算せずに計算できる女性な気がする。どうでしょうか。

 その等身大で、自然な姿が多くの人に響いた。

3人の余白の作り方と埋め方

 チャットモンチーの演奏は、そこまで難解なものはない。けど、それはあくまで分解してそれぞれのパートを見ただけで、ここまでピッタリあうのはめちゃくちゃレベルが高い。全体で見ると少ないが、弾きながら難しいフレーズもちょこちょこ見受ける。

 ギター・ベース・ドラム・そしてボーカル。単品で見れば、そこまで難しいフレーズも弾いておらず、初心者でも弾ける曲もたくさんある。

イントロも音の数は至ってシンプル。間奏からアウトロに駆けるフレーズ(2:40~)がチャットモンチーらしいフレーズ。

 真夜中遊園地のアウトロでも「ここで盛り上がってもう一度サビがくるか?」と思わせて曲が終わる展開が狂おしいほどかっこいい。余白をとった終わり方が最高にクール。

 聴いてもらえればわかるとおり、フレーズはとてもシンプル。

 そう、一見シンプルに聴こえる。

 だがそんなもの罠で、チャットモンチーのコピーはめちゃくちゃ難しい。それは彼ら三人の噛み合い方は絶妙に尽きるから。簡単そうで、全然簡単じゃないのです。すべてが心地いいように楽器隊が噛み合ってる。とても自然にさらっとカッチリ噛み合ってる。

 マクドナルドならセットで買ったほうが値段は安くなるけど、チャットモンチーは3人セットのほうが高い。それもべらぼうに高い。セット販売した途端に急にぼったくる。ポジティブな抱き合わせ商法。嬉しい。


このMV、解散が決まった今みると涙が出る

 楽器隊が噛み合うことは、本当にすごいこと。楽器に限らずどんなことでも合せるのは難しい。スポーツでも楽器でも、ひととなにかあわせようとした人ならその難しさが分かると思います。

「三人寄れば文殊の知恵」を体現していたバンドだと思う。それぞれが「超絶技工」をもつわけではないのに、三人集まるとあら不思議、超絶バンドになる。

 突出したわかりやすい超絶さを持ってなくても、そう言いたくなるくらいフレーズの埋め合わせ方がキレイ。足し算の概念を壊すバンドのひとつだった。というより、掛け算でした。

 じゃぁ単体じゃダメなのと言われれば、そうじゃない。超絶技巧はなくとも、聴かせる技術はもちろんあり、魅力がほとばしってる。

People In The Boxの波多野裕文とのデュエットである「橋本絵莉子波多野裕文」を聴けばわかるように、えっちゃん自身の持つ魅力も計り知れない。

スリーピース界の重鎮二人がコラボしたのはほんと衝撃的だった。

 ユニット名はお互いの名前繋げただけで、カオスなキメラ感。だって「橋本絵莉子波多野裕文」ですよ。漢字5文字+漢字6文字。中国に紛れ込んだのかと。女子十二楽坊か? サイコパシー感が漂うユニット名だけど、妙に納得させられるネーミングだから不思議。

聴けば一瞬で波多野作曲だと分かる彼の個性はすごい。

冒頭付近で、アイドル並のルックスをもってないだのなんだの言いましたが、個人的にえっちゃんは最高にかわいいです。

ボーカルも楽器

 ボーカルはバンドにおけるとても重要なファクター。チャットモンチーにボーカルえっちゃんは、ボーカルでありながら楽器の役目を強く担っていたと思う。

 これはチャットモンチーに限らず、歌ものはボーカルのもつ比重はやはり多いです。特にスリーピースならなおさら。ここまで音が気持ちよく当てはまってるのは、ボーカルの力が強い証拠。絶妙に拍数がずれていたりして、それがいいのなんの。

 理詰めするわけでもなく、ふわふわしたことしか言えず申し訳ないのですが、メロディと歌の良さが楽器隊と溶け合っていたように聴こえる。溶け合ってるが、溶け込みすぎてるわけでもなく、えっちゃんのボーカルは針みたく鋭かったり、泡のような儚さも表現する。語尾にハートが見えるようなキュートさもある。

 真夜中遊園地のサビの音の上げ方とか、えっちゃんの声だから成り立ってるでしょうあれ… ギターのチョーキングみたいな微妙な音の上がり方が最高。

 (いつしかのスーパーで真夜中遊園地がmidi音源で流れてたんですが、機械が苦しそうに「へ↑↑↑っどらいと」ってなってましたからね。機械泣かせの音程とリズム。機械の音を聴いて、人の声って面白いなと思った稀有な瞬間でした。)


まままま、まじょりてぃー。

 音の上がり方だと「majority blues」のサビも彼女ならでは。

「please don’t go anywhere」と彼女らに送りたい。ぷりーずどんごーえにわ〜。だけど声は虚しく、彼女らは解散してしまう。

歌詞の事後感と曲の哀愁

 チャットモンチーの歌詞は、はっきり言ってキラキラしてない。しつこく大好きなどと歌わないし、とびきりかわいい事も言わない。けど不思議なキラキラがある。曲がオーラを纏ってる。それが妙にキュート。

 彼女らの歌詞は過去をキレイに見せるものが多い。

有名な曲になってしまうけど「染まるよ」の歌詞

あなたのくれた言葉 正しくて色褪せない
でも もう いら ない 

いつだって あなただけだった 嫌わないでよ 忘れないでよ
プカ プカ プカ プカ 煙が雲になって朝焼けに染まるよ

 切ない。とにかく切ない。哀愁が漂う。

 これからの希望に満ちた幸せや、愛に満ちたりしてる現在の事を簡単に歌わない。歌詞のほとんどが終わったものを歌ってる。その儚さがあまりにも美しい。ここにもメンバーの素朴さが出てる気がする。

 現在形の歌を唄うときも、今に焦点を当てすぎずに、儚い幸せや愛を唄う。「これからたくさん未来があるぞ」のような事をあまり歌わない。押し付けがましくない歌詞が元気をくれる。それも、懐古して「あーあの頃はよかった」と歌ってるだけではなく、どこか生きる意思を感じさせる歌詞が心に残る。シンプルながら含蓄に富んだ歌詞がとても良い。

 過去を大切に唄うから、今を大切にしなきゃと思える歌詞。

 キラキラしてないのに、キラキラしてる。過去を歌ってるのに今を唄うように聴こえる。この矛盾のような美麗さを音楽に落とし込むのがハチャメチャに上手かった。

「バスロマンス」や、「モバイルワールド」「コスモタウン」みたいなポップ成分多めなものもあるけど、チャットモンチーの曲は概ね少しマイナー調。

 ギターの音色であったり、ベースの進行であったり。明るそうな曲もちょっと暗い。けど暗くしすぎず、ポップさを残す綱渡りをしている。その哀愁と歌詞とそのメロディが本当によくマッチしていた。

 哀愁多めだけど、可愛い歌も唄う。ちょっとちょっとチャットモンチー死角なし、無敵だ。

メンバーみんな歌詞を書く

 唄うのはえっちゃん一人(コーラス等除いて)だが、メンバー全員が歌詞を書くバンド。だからこそか、えっちゃんのワンマンバンドでなく、全員の息がしっかり合っていて演奏してる。

 メンバーそれぞれが曲のテーマをしっかり共有してるから、あのグルーブが生まれるのだと思う。

ああ 片道切符 もう帰れやしないふざけた日々
進みだした電車に 少し酔ってるだけさ

頑張れよ みんなが大好きだった あの場所は心の場所

 高橋さんの歌詞が個人的に好きだったりする。

高橋さんが抜けてから

 ドラム高橋さんが音楽以外の目標のため脱退してしまって、チャットモンチーはどうなるのかと思った。二人で活動をしていた時期は、羽をもがれた鳥をみている感触があった。

 5が4になったり、4が3になるのとはわけが違って、3が2になるのは、それくらい衝撃的だった。「くるり」よろしくにメンバーチェンジや体制を変えた彼女ら。

 シンセ多めだったり、サポートメンバーを加えたり、たくさん工夫を凝らして音楽制作やライブをして、最終的には新譜を楽しみにするアーティストであることに変わりはなかった。パフォーマンスの熱量は依然素晴しく、原点である3人体制を終えてからも、長く続いてほしいバンドだなと改めて思わされた。

 2人になったからこそ、3人の時の音楽はより輝いて見えたり、2人だからこそみせることの出来たパフォーマンスもあったり、どちらの体制にも魅力があった。この人達のつくる作品はとても待ち遠しかった。

 ちなみに彼女は、現在脱退前より活動してた作家業をしており、エッセイの執筆や、作詞の提供をしている。

高橋久美子さんのHP「んふふのふ」

ホームページで彼女の日記形式のエッセイが読めるので是非。本も出してます。

チャットモンチーのラストアルバム「誕生」収録の「砂鉄」の作詞も担当していて、これがまた感慨深い。

むすびに

 とにかく言いたいことは、彼女らの音楽は本当に革新的によかったという事。音が多くないのに、満足感がある音楽。それぞれのパートの魅せ方がとにかく上手かった。


先日のMステでも披露した曲。

 解散が残念でしょうがない。でも彼女らが作った音楽はずっと、ずっと残る。語り継がれて、ずっと聴かれ続けると思う。色んな人が聴いてほしい。青春の1ページを飾った大切なバンドでした。彼女らの活動の名の下の物語はついに完結。それでも彼女らの音楽は変わらず、終わらない。

 ではまた。

【ポップとプログレの革命児】景色を映し、色を塗る音楽【JYOCHO】

2018.05.13
hitoto

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