それは、平成最後の夏に起きた儚い奇跡でした。



 なーにが平成最後の夏だ、やかましいわ、そんなことをぶつぶつ言いながら、その一日は始まりました。どこもかしこも”平成最後の夏に◯◯!”的ポップや謳い文句。

 平成最後の夏、平成最後の夏って、何度も何度も言われたら、こちらが平静を保てないわ、などと傍ら痛げなことを口走りながら、家でゲームする朝。

夏の半ばの出来事

 時期は、7月の半ば。その日は夏祭りがあり、夜には僕も参加する予定でした。友達が帰省するタイミングで祭りに行くとの事なので、それに僕も合流するのです。何もこんな暑い日に祭りをしなくても、と思わなくもない、そんな暑さな一日。

 友人たちは夜こちらに来るそうで、僕はそれまで時間がありました。いつもどおり、カフェで作業でもするかと意気込み、自宅から近いカフェに向かいます。

遭遇

 そこでしばらくパソコンをカタカタしたり、本を読んでいました。10分くらいして、ふと顔を上げると、目の前に知ってる顔がおりました。わお、◯◯ちゃんです。以下、Uちゃんと呼びます。

おぉ、Uちゃんじゃん。なにしてんの

 

Uちゃん
ちょっと作業でもしようかなって

 

 奇しくも、お互い作業をしようとカフェに来ていたのでした。しかもその子の家は、そのカフェから若干の距離があります。

なんでわざわざこんなとこまで?

 

Uちゃん
よく行くところが空いてなかったんよ

 

 わおわお。今日は夏祭り。人もそりゃ多い。なるほど。偶然、街のカフェで会う。若干辺鄙な場所で。この時点でそれなりの確率なわけです。

 店員の女性もこちらを微笑ましい顔で見ています。にっこりニコニコです。なるほどなるほど。

 お互い作業しに来たので、会話は小さく留め、互いが別のことをしました。

途中でもう作業がおわったのか、Uちゃんは帰り支度を始めました。

「そんじゃまた!」

大した会話もないまま、さよならをします。

夏祭りへ

 Uちゃんとバイバイし、夏祭りが始まり、人混みの中へダイブ。歩行者天国すぎて、友人たちと合流するまで時間が掛かりそうでした。なので、僕はその場でステイし、一眼レフをチラつかせながらドヤ顔で鉾を撮っていました。

「めっちゃ人いんじゃ〜ん」と荒野行動のウザさ濃度高めのCMの言葉も忘れず使用。あのセリフは人混みで本来の意味を発揮する。発揮しなくていいけど。

【俺を倒したい?】いつのまにか荒野行動のCMが好きになる記事【イライラするひとへ】【動画あり】

2018.09.14

「めっちゃわっしょいするじゃ〜ん」となんの意味もない事もしっかり口に。誰にも何も伝わらない文字列。もやは無。よもや誰かわかるかなと思うも、届かぬ願い。誰も反応してくれません。

友人たちと合流

 友人と合流し、近況報告なりをしながら、いつものように馬鹿話。「相変わらずこやつらはよく喋るなー」と思いつつ、自分もよく喋ってるなーと翻す、そんな時間。夏です。これぞ夏。夏祭り。わっしょい。

 りんご飴がベトベトで、服にシロップがたれたり。イチゴ飴が硬すぎて歯が欠けたり、てんやわんや。歯、脆い。歯は本来めちゃくちゃ強いの物質で出来てるのに、虫歯に蝕まれると、もう脆い。

 一通り話し、疲れて休憩したり、歩いたり。彼らとは終電がなくなる間際でお別れを。また会おう。いつでも連絡くれよ。遠方はるばるありがとう。

 結局、祭りでは彼ら以外の友人たちとは会わずじまい。

帰宅、空腹

 家に帰り、別の連絡でスマホが光ります。Uちゃん?残念、別の友達。

 その友人も遠方からその祭りに来ており、今日泊めてくれ、との連絡。安心してください、同性です。もちろんオッケーだったので、快諾。

 寝る場所ない(布団が一つしない)のが唯一にして最大の懸念でしたが、「それでも良い」と言っていたので大丈夫なんでしょう。ホントに床しかないぞ。いいの?

大乱闘友人ブラザーズ
友人友人と言っておりますが、僕はそこまで友人が多くありません。この日はそれも奇跡の一部。友人オールスターズ。大〜乱〜闘!友〜〜人〜ブラザーズ!と叫びたい一日でした。

 ただですね、その友人が全然家に来ないのですよ。僕が帰宅した時点で12時ほど。いちご飴で歯を欠いたのあれが最後の食事で、結構な時間が経っていたのです。

「お腹へった よしラーメン食べよう」と深夜のラーメンというギルティを選択。

ラーメン屋へ

 ラーメン屋というものは、夜遅くまでやっているのが世の常。自転車を漕いで、ラーメン屋まで走る。

 到着し、カウンター席に一人座ろうとします。祭りの効果もあってか、深夜にもかかわらず、それなりの繁盛具合。「知り合いでもいないかな?」とグルグルまわりを見渡すと、なんとそこにはUちゃんの姿が!

「!? これは!?夏の日のときめきメモリアル!?」

夏の魔物が耳元で騒ぐ、「座れ!Uちゃんの横に座れ!!」と。

店に入ったボクにUちゃんは気付いた様子で「こっちおいでよ」と手招きのサイン。

Uちゃん
(くいっくい)
 

「これは!?真夏の、平成最後のランデブー!? 平成最後の夏のロマンス!?」

「そっち行く〜」と、夏のコンビニの光に群がる虫かの如く、ボクはUちゃんの隣に座るのでした。

 カフェで会った偶然の時点で奇跡、そしてラーメン屋でさらに再会。普段の活動拠点でない場所で二度も。二度も重なればそれは天文学的数値。なんだこれは、この夜はどうなってしまうのか。これからUちゃんと一体なにが起こるのか。




 何も起きないんですよ。

 もう盛り上がりもなにもないので、ネタバラシ。

 このUちゃん、そうです男です。すみませんでした。特に面白みもないオチ。読めてたと思います。〇〇ちゃんって呼ぶ男性の友達いるじゃないですか、それです。

補足
吹き出しの女性は当然フリー画像です。中性的なのを選ばせてもらいました。

 とにかくね、ほんとにいらない奇跡が夏祭りの日に起こりました。なんですか、この仕打ちは。ロマンチックな夏?平成最後のロマンス?ランデブー?そんなもんありませんよ。

 ラーメン屋でふたりで「こんなことある?(微妙な笑い)」でした。

 偶然、市内で同じタイミングで同じ店に辿りつく。しかも同じ日に二回も。こんな必要ない奇跡ありますか? こんなトキメキのない偶然ありますか?いや、ない(反語)ですよ。

 そんでうちに来る友人の寝床がないから、そのUちゃんに、寝袋を貸してもらって事なきを得ました。必要ある奇跡でした。おうおう.. 寝袋ありがとう。

 夏の運気はきっと全部この日に吸い取られました。ふざけんな。でもこっちもきっと、やつの運気を全て吸い取ってやったのです。

なぁ!見てるか!Uちゃん!ざまぁねぇな!じゃあな!

hitoto

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