深夜は危険。今も深夜のマクドナルドで作業をしているけど、まさしく今、ひとつ飛ばし隣に座ってる人から、危険な匂いがする。

 目を瞑りながら、空気にむかって延々としゃべっている。もちろんイヤホンもデバイスも何も使ってない。丸腰で、スーツを着たおじさん。

おじさん

中国はスマート。キャップはあけたまま、また明かして帰る。

 

 など、ぶつぶつ言っており、連想ゲームとしてはあまりにも難易度の高いものを課されている。クリア出来る気がしない。日本語だよねこれ?

 加えて、彼はソファ席になぜか正座してる。律儀に靴も脱いでいる。

 色々とツッコミをいれたいが、多分話したら大変なことになりそうなので、席をひとつ分あけて、耳と視界の隅180度ギリギリに彼を置き、様子を伺うことにする。

 一つだけ言えることは、とりあえず怖い。




 人間の視界にも限界があるので、たまにポテトをとるためにわざとらしく大きく右を向く。そうすると、なんと彼は手を瞑想のポーズに向けているのです。

おじさん
黒色のハチ。中国は見て帰らなあかん。中国の水遁は水入り。

 

 呪文でも詠唱しているのでしょうか。そのうちここにとんでもない悪魔でも召喚されるんじゃないだろうか、と畏怖する。

おじさん
昨日の残り物。もってかえってこなあかん。
 

”残る”や”帰る”という言葉が頻出して聞こえる。きっとここ、テストに出る。

 ゴニョゴニョを聴いてるうちに、はっきりと彼は言った。ボリュームが1.3倍増しでこう呟きました。

おじさん

吉野家の牛丼は、中国品だ

 

 それまでもわもわ曖昧だったのに、そこだけ輪郭がはっきりしてた。

 また”中国”という言葉が出た。前半の「中国はスマート」からするに、中国に対して敬意を払っているのだと思う。吉野家の牛丼は中国産で良いものだと言いたいのか。しかし、言葉の端々に憤りやイライラを感じるので、中国を賞賛のようなものではない気がする。さて、何が言いたいのか。

おじさん

コンビニには肉もある。今作ってください。(?)

 

今度は、コンビニの話になった。そして肉。

おじさん

王将、王将!中国がっ。
奥さんが中国の方で、旦那さんがイザカヤさんでっ。

 

 食べ物と中国の登場頻度の高さ。やたらと食べ物が出てくる。食に飢えてるのか?と疑問が生まれる。

そのうちヒートアップしながら

おじさん

奥さんが居酒屋!

 

 と言葉を発する。お奥さんも居酒屋だった。旦那さんも居酒屋さんだし、奥さんも居酒屋さんらしい。納得してるようで、全く意味がわからないが、居酒屋なのだ。些かわかることはこれしかないのだ。




 と、このあたりで急におじさんのバッテリーが切れ始めた。

ヒートアップしてたテンションは元のボリュームに戻り、

おじさん

ハンバーガー・・・ 中国の肉・・・

 

 どことなく寂しそうにつぶやいてる。相変わらず肉の話。

 「なんなんだこの中国への思いは…ハンバーガー食べたいならレジにいってくれ…」そう思っているうちに、おじさんは果てに寝た。睡魔に負けたようで、腕をプランとさせ思考が停止した。もちろん靴は脱いで、正座をしたまま意識を失った。腕は相変わらず組んでいて、さながら仏様のようだった。

 時をまもなくして、小言さえもなくなり、静かになった。

自分の視界には、スーツを来たおじさんの軽くシルエットが写る。完全に静止したので、興味本位で顔をそちらに向けた。

 おじさんは、こちらを見ていた。まさかまさかの目が合うハプニング。

hitoto

(うぇっ!?)

 米津玄師『Lemon』Aメロみたいな音が出ました(心の中で)

そう声が出そうになったが、なんとか堪えて、顔をパソコンのほうに戻す。「さっきまで目を閉じてた(っぽい)のに、なんで急に開いてるんだよ」とこちらも恐怖と憤りに曝されそうになった。

 そして、もう活動停止したと思ったおじさんはまたボヤボヤと呟き出す。視界の隅に映るその影は、とても怖いものにかわっていた。興味本位で顔向けたのは完全にプレイングミスであったと反省。

 それから時間が経って、「最後にもう一度だけ」と彼の方を向いてみる。

 おじさんは、タウンワークとにらめっこしていました。

 職探している説が急浮上。もう彼の生態系が謎すぎて、混乱せざずを得なかった。食に飢えてるのか、職に飢えてるのか、もうどちらかにしてほしいと切に願った。とりあえず肉を食え。



とまぁこんな感じで、深夜は変な人がいる。(実話)

 今回のは目が合うという具体的に怖い要素があったけど、深夜の変な人は大体こんなもんである。深夜徘徊を良くする人ならわかると思うけど、こんなの序の口。

「目が会う人全員と友達だったらいいのにな」【今日ばらん#5】

2018.08.12
 この記事で、「目が合う人全員と友達ならいいのに」と言ってるけど、さすがに全員は危ないなと改めて思いました。

 けど、もし深夜に出かけようとするなら、気をつけてください。間違っても声をかけてはいけません。目も向けないほうがいいかもしれません。それでも興味があるなら、耳に全力を注いでください。

ではまた。

hitoto

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